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産経新聞に連載

▶ 産経新聞連載の華宵作品解説 『高畠華宵・大正ロマン永遠に若し』

産経新聞(愛媛県版)に平成8年4月より14年2月まで全230回にわたり、学芸員が毎週作品解説を連載しておりました。

「この作品の解説を見たい」「バックナンバーを見てみたい」等のご要望にも出来る限りお答えしていきたいと思いますので、お問い合わせ下さい。

第21回​「ナイル薔薇曲」

「ナイル薔薇曲」は、『少女画報』に昭和4年4月号から1年間にわたって連載された 外来文化の影響を受けた“埃及秘譚”です。


王位継承をめぐる争いの中で、勇敢な美少年 ラメットが、王位を横取りしようとたくらむ悪漢どもから王子王女を守るため、生き別 れとなっていた妹ミミィと共に「少年十字軍/少女薔薇団」を結成して活躍する物語です。  


華宵が多くの影響を受けた19世紀末の西欧芸術の内側には、「異国趣味」と呼ばれた 日本や中国、中近東など東洋世界への傾倒がありました。現実から目を背け、未知の国への あこがれや幻想を強くしていったのは、洋の東西を問わず、この時代の特徴的な風潮です。 華宵も例外ではありませんでした。この「ナイル薔薇曲」のような作品の中だけでなく、 「華宵御殿」の寝室は、トルコ風のアーチとベールで飾られ、現実と幻想世界はますます濃厚に交錯していきました。

 
「ナイル薔薇曲」は華宵得意の流麗でシャープなペンタッチによって、力強さと精鋭さ、 そしてかすかなエロティシズムを感じさせる、挿絵の代表作です。

                                                              (高畠華宵大正ロマン館    学芸員 高畠麻子)

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